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どうも、イタリア人になりたいコジオです。

生ハムが好き。
成城石井に行けば、ハモン・セラーノ、ジャンボン・セック……いろんな生ハムが並んでいる。名前だけでちょっと強そうだ。
せっかくなので、じっくり見比べる。産地、熟成期間、お値段。
そして、よく分からないのでハモン・セラーノを買う。いつものやつだ。冒険する気持ちは、売り場に置いてきた。
生ハムの知識はない。でも、あの熟成香はたまらない。ひと口噛んで、じわっと広がる旨味をワインで追いかける。うまい。もう一枚。
産地や熟成期間はよく分からないが、皿が空になるのは早い。

本で見つけた、知らない干し肉
数か月前、いつものように愛読書、内藤和雄さんの『イタリアワインの愛し方』を読んでいた。「次は何を作って、何を飲もうかな」とページをめくっていると、気になる組み合わせが出てきた。
ヴァッレ・ダオスタ州の赤ワイン、フミン。そして、それに合わせるモチェッタ。
モチェッタ? 初めて聞いた。
調べてみると、牛や山羊、羊、鹿などの赤身肉を塩やハーブで味つけし、乾燥・熟成させた、この土地の保存食らしい。要するに、僕の好きな生ハムの親戚みたいなものだ。これは食べてみたい。
ところが、近所では売っていない。
「普段パンチェッタも作ってるし、自分で作れるのでは?」
そんな絶望的なまでに楽観的な考えが浮かんでしまった。生ハム売り場で新しい銘柄を買う勇気はないのに、干し肉は一から作ろうとする。自分でもよく分からない。
モチェッタを作る
モチェッタは、完成後に焼いて食べる料理ではない。特に野生の鹿肉を加熱せずに食べることには、E型肝炎や食中毒のリスクがある。
そこで今回は、市販の牛モモ肉を選んだ。ただ、牛肉なら自家製の非加熱干し肉が安全になる、という意味ではない。ここは「みんなも気軽に作ってね!」とは言えない部分だ。
作っている間のあれこれは、別記事のモチェッタ作りの記録にまとめる予定だ。今回は一か月待って完成した肉と、フミンを合わせた話をしたい。
[リンク挿入予定:モチェッタ製作記事]
現地のものと同じ仕上がりかは分からない。でも、薄く切った断面を見たときは、なかなかうれしかった。
さて、フミンを買おう
肉ができても、ワインがなければペアリングは始まらない。
フミンを探してみたものの、日本語のレビューがなかなか見つからず、どれが美味しいのかわからない。こういうときはVivinoを開く。知らないワインを買うときの、僕の頼れる相談相手だ。

候補の中から選んだのは、レ・クレーテのフミン。購入時に見たVivinoの評価は3.8。僕は4.0を超えると「これは感動した」と感じることが多いので、数字だけなら即決というほどではない。

しかも、見つけたボトルは約7,000円。
「ふぁっ!?」
声が出た。出たけど、買った。右手が勝手に動いた。
一か月かけて肉を作ったのだ。ここでフミンを開けなかったら、何のために始めたのか分からない。
まずはモチェッタだけで
薄く切ると、断面は黒紫から暗い赤へのグラデーション。外側はしっかり干し肉なのに、中心はもちっとしている。(濡れているように見えるのはオリーブオイル)

噛むほどに熟成した肉の旨味が出てきて、仕込みに使ったワインやハーブ、胡椒の香りも感じる。赤身肉らしい酸味もある。
うん、おいしい。
毎日様子を見ながら一か月待ったので、この時点ですでにちょっと感慨深い。だが、今日はここで終わらない。主役がもう一本いる。
フミンと合わせてみる
フミンを飲んだ第一印象は、ブルーベリーガム。
紫色の果実に、青いハーブ、黒胡椒。飲み進めると、途中から煙のようなくぐもった香りが顔を出す。酸は鋭く一直線に伸びる感じではなく、舌の真ん中で「キュン」と跳ねる。チャーミングなニュアンス。
では、モチェッタをひと口。そのあとにフミン。

……あ、煙だ。
肉にもワインにも、スモーキーな風味がある。ハーブと胡椒もそれぞれにいて、肉の酸味とワインの酸もつながる。共通点を探そうと身構えなくても、口の中で次々に見つかる感じがした。
同じ土地の料理とワインだから合う、という話はよく聞く。でも今回は「具体的にどこが?」に、自分の舌で答えられた気がする。
なかでも忘れられないのは、二つを合わせたときに煙のような風味がふわっと広がったこと。あれを確かめるために一か月待ったのなら、待ってよかった。
また作る?
フミンはかなり個性的なワインだった。誰にでも「これ好きでしょ?」と勧めるタイプではないかもしれない。でも、あの果実とハーブと煙の組み合わせは、簡単には忘れられそうにない。
愛著で見つけたフミンとモチェッタ。実際に作って、探して、合わせてみたら、ちゃんと自分の体験になった。
次は何をアッビナメントさせようか。


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